里帰りが生後2か月を超えるかもしれないんだけど、何か手続きが必要なのかな?
2か月から予防接種が始まるため、里帰り先で受ける場合は手続きが必要なります。手続きには時間がかかるため、早めに行いましょう。
私の場合、里帰り先で予防接種を受けたかったのですが、生後2か月を過ぎてから手続きをしたため、希望の期間に受けることができませんでした。
本記事では、里帰り先で予防接種を受ける場合の手続きと私の失敗談についてご紹介します。
- 生まれて初めての予防接種はいつから?
→ 生後2か月から3か月半までに接種 - 予防接種を里帰り先で受ける場合の手続き
→ 「実施依頼書」が必要 - 予防接種の費用は病院ごとに異なる!?
- 【失敗談】里帰り先で予防接種を受けられなかった話
生まれて初めての予防接種
生後2か月から
生れてはじめての予防接種は、生後2か月からになります。
予防接種が生後2か月って早すぎない?
赤ちゃんは生後5~6か月までは、生まれた時にお母さんからもらった免疫などによって、多くの細菌やウイルスなどの感染症から守られていますが、その免疫が落ち始めるころから、むしろ感染症にかかりやすくなります。 ~中略~ このような感染症から、大切な赤ちゃんを守るのが「予防接種」です。生後5~6か月までに予防接種の十分な効果を発揮させるためには、生後2か月になったらすぐに予防接種を開始することがとても重要です。
日本小児科学会│生後2か月から接種するワクチン
赤ちゃんの免疫の落ち始めに間に合わせるために2か月から予防接種が必要になるんですね。
ワクチンは5種類
生後2か月で接種できるワクチンは5種類になります。
- Hib
- 肺炎球菌
- B型肝炎
- ロタウイルス
- 4種混合
ロタは生後3か月半までに接種
生後2か月で接種するワクチンのうち、ロタウイルスは、生後3カ月半(15週0日)より前に接種することが推奨されています。
そのため、生後2か月の予防接種は、2か月になったらなるべく早めに接種しましょう。
0歳児は、月齢が進むと腸重積にかかりやすくなります。
特に、ロタの初回接種から1~2週間は腸重積のリスクが増すと言われています。
腸重積の起こりにくい時期に接種するためにも、初回接種は生後3カ月半(15週0日)より前に接種することが勧められています。
予防接種を里帰り先で受ける場合
「実施依頼書」と「払い戻し」2つの手続きが必要
予防接種を里帰り先で受ける場合、住民票がある市町村が発行する「実施依頼書」が必要になります。
妊婦健診や1ヶ月健診と違って、事前の手続きが必要になる点が注意です。
- 事前に、実施依頼書の手続き
- 事後に、接種費用の払い戻し(償還払い)の手続き
「実施依頼書」と「接種費用の払い戻し」の手続きは別になります。
ただし、事前に実施依頼書の手続きをしていないと接種費用の払い戻しに対応していない市町村がほとんどですので、必ず事前に実施依頼書の手続きを行いましょう。
実施依頼書とは?なぜ事前に必要?
実施依頼書とは、予防接種の実施責任が「住民票がある市町村長」にあることを明確にした書類です。
予防接種を受けた後に、極めて稀ですが、重篤な副反応(脳炎や神経障害など)が生じる可能性があります。
その健康被害が予防接種によるものと認定された場合、市町村により給付が行われます(健康被害救済制度による給付)。
この給付は、「住民票がある市町村」が行います。
そのため、定期予防接種を「住民票がある市町村」が指定する病院以外で接種する場合は、実施依頼書により、「住民票がある市町村」から、「里帰り先の市町村」もしくは「病院」に接種依頼を行い、予防接種の実施責任が「住民票がある市町村長」にあることを明らかにしておくのです。
(予防接種により健康被害が生じた場合、健康被害救済制度による給付は「住民票がある市町村」で責任をもつことを明らかにしておくため)
なので、実施依頼書は、予防接種を受ける前に必要になります。
勝手に指定外の病院で予防接種を受けて、健康被害が生じてから市町村に報告しても責任を取ってもらえません。
事前に、◯◯病院で予防接種を受けますので、何かあったらよろしく、という報告が必要になるということですね。
(参考)
練馬区│予防接種による副反応および健康被害と救済制度
厚生労働省│予防接種健康被害救済制度について
里帰り先で予防接種を受ける場合の手続き
- 住民票がある市町村に実施依頼書の申請(郵送)をする
- 市町村から実施依頼書が発行(郵送)される
- 里帰り先で予防接種を受ける
- 実施依頼書を提示
- 接種費用は全額自費で支払い、領収書をもらう
- 里帰りから帰ったら住民票がある市町村で払い戻しの手続きをする
- 後日、助成金が口座に振り込まれる
1ステップずつ確認していきましょう。
事前に確認・決めておくこと
実施依頼書には、次の項目を記載するため、事前に確認・決めておく必要があります。
- 予防接種を受ける病院を決める
- 予防接種を受けたい病院に接種可能か確認しておきましょう。
- 里帰り先の市町村に、実施依頼書の提出先が「市町村長宛」か「医療機関長(病院)宛」か確認
市町村によっては、他にも確認しておく項目がある場合も。
まずは市町村のHPを確認、もしくは、電話で手続きを問い合わせてみましょう。
① 住民票がある市町村に実施依頼書の申請(郵送)をする
住民票がある市町村に、申請書(実施依頼書を手続きの依頼)を送付します。
市町村によっては電話・FAX・メール・電子申請での受付を行っているところもあります。
私が住んでいる市町村は郵送だけなので、メールや電子申請が可能なのはうらやましいです。
デジタル化が進んでいるので行政サービスの対応も電子化してほしいですね。
② 市町村から実施依頼書が発行(郵送)される
発行まで2週間程度かかるところが多いです。
市町村によっては1週間~1ヶ月かかることもあるので、手続きは早めに着手しましょう。
急いでいる場合は、お住いの市町村に電話で相談してみましょう。
③ 里帰り先で予防接種を受ける
予防接種を受けます。次の点を忘れないようにしましょう。
- 実施依頼書の提示
- 接種費用は全額自費で支払い、領収書をもらう
母子手帳に接種歴を記入してもらうことも忘れずに!
④ 里帰りから帰ったら住民票がある市町村で払い戻しの手続きをする
申請には期限があります。
期限は、半年~1年くらいのところが多いので、忘れずに申請しましょう。
⑤ 後日、助成金が口座に振り込まれる
後日、接種費用の全額もしくは一部が口座に振り込まれます。
接種費用の払い戻しには補助上限あり
接種費用の払い戻しには上限がある市町村がほとんどです。
実際にかかった費用と補助上限額のどちらか少ない額が払い戻しになります。
この上限は、各市町村が病院に支払っている各種予防接種の支払い単価が上限になっているようで、市町村ごとに異なっています。
補助上限額(例)
市区町村 (人口) | 東京都板橋区 (55万人) | 福岡市 (164万人) | 新潟市 (77万人) | 長野県上田市 (15万人) |
---|---|---|---|---|
Hib | 10,384 | 9,434 | 8,459 | 7,158 |
肺炎球菌 | 13,750 | 12,800 | 11,825 | 10,332 |
B型肝炎 | 8,045 | 8,566 | 5,434 | 5,211 |
4種混合 | 13,090 | 13,577 | 11,055 | 9,435 |
ロタリックス | 16,500 | 16,635 | 14,520 | 13,142 |
合計 | 61,769 | 61,012 | 51,293 | 45,278 |
大都市や人口が多い街ほど、補助上限額が高いですね。
■田舎から都市部に里帰りすると損!?
私の印象ですが、大きい都市ほど予防接種費用が高く、田舎の方が安い気がします。
私は田舎から都市部に里帰りしたのですが、都市部(里帰り先)の予防接種は、ほとんどが上限額を上回っていました。
田舎から都市部に里帰りすると自己負担額が大きくなるので、少し不公平感を感じました。
下に小児科ごとの予防接種費用(例)があります。
里帰りで「都市部の小児科A」で接種する場合、板橋区や福岡市に住んでいる方だと自己負担が数千円で済みますが、上田市の方だと1万円以上も自己負担しないといけません。
予防接種の費用は病院ごとに異なる!?
里帰り先で自費で予防接種を受ける場合、いくらかかるのかな?
実は、予防接種の費用は病院ごとに異なっています。
予防接種は、「保険診療」ではなく、「自由診療(保険診療外)」に該当します。
保険診療では、基準(診療報酬点数表)により医療行為ごとに点数が決められていて、その点数をもとに医療費が計算されます。
一方で、自由診療では、医療費の決め方に基準はなく、任意に料金を設定できるため、病院ごとで料金が異なってきます。
予防接種費用(例)
小児科A (都市・人気) | 小児科B (都市から少し離れる) | 小児科C (田舎) | |
---|---|---|---|
Hib | 10,400 | 9,000 | 7,000 |
肺炎球菌 | 13,800 | 12,000 | 10,000 |
B型肝炎 | 8,200 | 6,000 | 5,000 |
4種混合 | 13,000 | 10,000 | 10,500 |
ロタリックス | 14,000 | 13,000 | 13,000 |
合計 | 59,400 | 50,000 | 45,500 |
小児科によって、1万円以上も差があります。
予防接種を里帰り先で受ける場合、市町村から助成される接種費用には上限があり、上限を超える場合は自己負担になってしまいます。
小児科によっては、助成の範囲内で接種できるところもありますが、上限を超えた場合1万円以上自己負担になってしまう場合も。
里帰り先で予防接種を受ける場合は、できるだけ自己負担を少なくするために、複数の小児科に接種費用を問い合わせて、助成の上限を超えない病院をチョイスするといいかもしれません。
住民票がある街で予防接種を受ける場合は無料で受けられるのに、里帰り先で受けると自己負担が生じるのは困りますよね。
【失敗談】手続きが間に合わず里帰り先で予防接種ができなかった
第一子の出産で里帰りをしたのですが、生後2か月になるちょっと前に帰る予定でした。
しかし、夫の仕事の都合で直前に延期、2か月半まで里帰り先にいることになりました。
当初、生後2か月の予防接種は帰ってから受ける予定でした。
しかし、2か月半までいるのであれば、もしまた直前で再度帰るのが延期になったり、予防接種の予定日に体調を崩して、接種が延期になることも考えられます。
ロタウイルスワクチンは、3か月半までに接種をしなければならないので、できれば里帰り先で接種を済ませたいと思いました。
すぐに住んでいる自治体に問い合わせて、里帰り先で予防接種を受けたいことを伝えました。
しかし、市の担当者からは、GWを挟んでいるため、今から申請して里帰り先に実施依頼書が届くまで2週間程度かかると言われてしまいました。
2週間程度かかる理由
● GWを挟んでいるため、郵便物の配達にいつも以上に時間がかかる(郵送が2回)
①私が申請書を市役所に送付
②申請書を受理後に市が実施依頼書を発行
● 実施依頼書の発行には、上長の決裁が必要にあるため即日発行は不可
そのため、実施依頼書が里帰り先に届くのは、早くて帰る日の前日。
タイミングによっては帰ってから届くことになります。
また、小児科によっては、予防接種を行っている曜日が決まっていることもあり、希望する日に接種できなかったりします。
予防接種後は副反応がでる場合があるので、接種は帰る2~3日前には済ませておきたいところ。
これらを考慮すると、里帰り先で接種を済ませるのは正直厳しいスケジュールでした。
また、実施依頼書には予防接種を受ける小児科を記載しなければいけません。
予防接種の費用は、市町村の助成金額の上限を超える金額は自己負担になるので、できるだけ自己負担を抑えたいもの。
急いで近くの小児科に問い合わせたのですがここでまたGW問題。
GWはお休みの小児科も多く、診療していた2,3件しか確認できませんでした。
実施依頼書を申請しても帰ってから届くかもしれない・・・
里帰り先で接種を受けると、払い戻しがあっても自己負担は1万くらいかかる・・・
気になっていた小児科に接種費用を確認できなかったので、費用がもう少し抑えられたかもしれない・・・
実施依頼書の手続きをするか迷ったのですが、手続きをしても状況により使用せず、帰ってきてから地元で予防接種を受けてもOKとのことだったので、帰るのが再度延期になった場合に備えて、とりあえず手続きをしておくことにしました。
実施依頼書の発行が予定通りに進めば、帰ってから予防接種を受けることになるので、並行して地元の小児科に予防接種の予約もしておきました。
結局、実施依頼書は間に合わず、里帰りから帰った2日後(週明けの月曜日)に実家に到着。
生後2か月の予防接種は、帰ってから地元の小児科で済ませました。
生後2か月近くまで里帰りする場合は予防接種の手続きを確認しておこう
里帰り先で予防接種を受ける場合は、病院の比較、市町村の手続きなど時間がかかります。
生後2か月近くまで里帰りする場合は、里帰り先の小児科、市町村の手続きを確認しておきましょう。
産後は赤ちゃんがと思うように作業が進められなかったりします。
可能であれば妊娠中にサラッと確認しておくとよいです。
1ヶ月半くらいを過ぎたらとりあえず市町村に予防接種の手続きを申請しておいてもよいかもしれません。
ちなみに、人気の小児科は、生後2か月直前に予約しようと既に予約が埋まっていることも。
1か月健診が終わったらすぐに予約をする方が多いみたいなので、予防接種の計画&予約は早め(1ヶ月健診後すぐ)に行いましょう。